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小川一水
時砂の王
〈時をめぐる大いなる戦いの果てに――著者が満を持して挑む、初の時間SF〉時間線を遡行して人類の完全なる殲滅を狙う謎の存在。絶望的な撤退戦の末、男は最終防衛ラインたる3世紀の倭国に辿りつくが……
時間旅行モノ。ありふれたテーマだと最初は思ったけれど、内容はぜんぜんありふれたって感じがしない。
西暦248年。とある国の女王とその使いが物の怪に襲われる。危機に瀕した彼女たちを救ったのは未来からきた「使いの王」を名乗る知的生命体。彼の目的は同じように未来から来る侵略者から人類を救うこと。
西暦3世紀ごろの彼らの戦いを軸に、これまで「使いの王」関ってきた戦いの軌跡を追う物語。
数十世紀にまたがる壮大な物語。しかしこれが驚くほどコンパクトにまとめられている。そしてかなりシンプルな構成。小難しいSFではなく、かなり物語に注力して読むことができる。小川一水氏の小説にしてはかなり短い部類だろう。実際、これは中篇の予定だったらしい。いやはや、すごいです。
SFはなかなか読みづらいものが多々あるのも確か。しかしこれは内容的にも文章量的にもかなり読みやすい。オススメの一作。
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第六大陸
- 2009-02-02 (月)
- 本
西暦2025年。サハラ、南極、ヒマラヤなどの極限環境で、類例ない工事実績をもつ御鳥羽総合建設は、ある施設の建設計画を受注した。依頼主は巨大レジャー企業会長・桃園寺閃之助、工期は10年、予算は1500億円。そして建設地は月である。
御鳥羽総建機動建設部の俊英、青峰走也は、閃之助の孫、妙を伴って、月面の中国基地へ現地調査に赴く。彼らを待っていたのは予想外に苛酷な月の世界だった。
天竜ギャラクシートランス社が開発した新型エンジンを得て、「第六大陸」建設計画はついに始動した。2029年、月の南極に達した無人探査機が永久凍土内に水の存在を確認、もはや計画を阻むものは存在しないかに思われた。
だが、火星有人探査計画に失敗したNASAが、再起を賭けて月面都市計画を発表、さらには国際法上の問題により「第六大陸」は窮地に追いやられる。
極地専門の建設会社、巨大なレジャー企業、民間の輸送企業が協力して取り組む月施設建設計画。
御鳥羽総合建設を率いる熱血社長御鳥羽拓道、若手のホープ社員青峰走也、天竜ギャラクシートランス社を創設した野心あふれる八重波竜一、トロフィーエンジン開発者である天才泰信司、ELE社の特別監査員保泉玲花、アメリカ、中国、ロシアの宇宙飛行士。こういった人たちを巻き込んでこれほどのプロジェクトを先導するのは、桃園寺グループ会長の孫娘、桃園寺妙、プロジェクト開始当時たった13歳の少女。
ヒューマンドラマ部分は、良く言えばとてもライトノベル感覚で読みやすい。悪く言えばちょっとご都合主義的。対してSF部分、月施設建設までの道のりはとてもハード。実際に民間企業によって建設が進められたらこうなるんじゃないか?というシミュレーションに近い。
2009年現在。
月面に基地はまだない。
建造の目処も無い。
さて、実際に建造されるのはいつになることやら。
月面基地さえ作られれば、軌道エレベーターも現実味を帯びてくると思うんだけどなー。
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フリーランチの時代
- 2009-01-30 (金)
- 本
小川一水「フリーランチの時代」
5つの物語が収録されたSF短編集。
フリーランチの時代
火星探査隊の一人があっさりとファーストコンタクト。そしてさくっと死の淵から蘇ってそのまま不老不死。すんなりと受け入れてしまい、他の3名にも……。
Live me Me.
大事故によって意識以外はほぼ機能停止状態となってしまった女性。大脳に埋め込まれたデバイスによって少しずつ意思疎通を可能としていく。画像、文字、オンラインゲーム、そして行き着いた先は?
Slowlife in Starship
太陽光させあれば人間一人を養うことができる個人用宇宙船。それに乗る人間不信、女性恐怖症気味の男の物語。未来のニート。この一言につきる(笑)
千歳の坂も
医療技術の進歩によってふと気づけば不老不死が可能になり、死んではいけない法律が生まれた時代。不死にさせようと躍起の政府職員と不死を拒み続ける老婆の話。
アルワラの潮の音
これは長編「時砂の王」のスピンオフ小説らしい。ってなわけでそっちを読むまでは保留。
続きが気になるものばかり。もっと読みたいと思ってしまう。まぁ短編だから仕方ないか。それでも、とても読みやすいSFだと思った。ライトノベルっぽい感じ。入門用にはいいかなーと思うけど、短編集の宿命かちょっと物足りないかもしれない。
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老ヴォールの惑星
- 2007-09-24 (月)
- 本
早川書房 (2005/08/09)
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「オチ」に説得力
ツボでした
粒揃い
小川一水によるハードSF中篇作品集。奇妙な監獄迷宮が舞台となる「ギャルナフカの迷宮」。異星人側からの視点で描いた感動のファースト・コンタクト。現実と仮想現実を問う「幸せの箱船」。1人の男の不死の孤独を描いた「漂った男」。以上の4篇。どれも良い味をした作品だと思う。
いま生きている世界は本当に現実なのか? 本当の自分は実はベッドにでも寝ていて危篤状態で無理矢理に現実の夢を見せられているんじゃないか? なんてことを誰でも一度は考えたことがあると思う。
仮にそれが本当だったとしても、それを自分で確認する術が無いとなると、それはその人にとって仮想にしかならない。その人が現実と感じることこそが現実であり、それ以外のことは真偽は関係なく、仮想的なものとなる。私の五感が感じるこの世界と、あなたの感じるこの世界は、もしかしたらまったく違った光景かもしれない。でもそれを確認することができない以上、世界はそのひとのためだけの単一の世界、とも考えられる。他者から得られるリアクションは、たまたま自分の世界に都合の良いことなだけだ。
なんてことを昔考えたことを思い出した。
この作品に描かれているような世界、生物が私が生きる世界とは別にいるのかもしれない。
平行世界、パラレルワールド、多世界解釈。
SFは現実を凌駕し、そして現実はSFを追い続けている。
いずれ、こういった出来事が現実で起こるんだろう。
そして、どうせなら、ボクが生きている間にボクの世界で起こってほしいね。
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